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不動産フランチャイズ(FC)は、入るべきか。主要11ブランドの費用・契約・支援を、有価証券報告書と公式資料で比べる

物件ボード編集部2026年10月28日約15分で読めます

この記事で分かること

  • センチュリー21・ハウスドゥ・アパマンショップなど主要FCの、店舗数・加盟金・ロイヤリティ・契約期間
  • 「売上歩合」と「定額」で、元が取れる売上がどう変わるか(試算つき)
  • 既存店の看板替えと新規開業で、考えるべきことの違い
  • 加盟前に本部へ書面で求めたい資料のリスト
営業担当

営業担当取引先の社長が、FCに入るか迷っているそうです。売買中心で、年間の手数料売上は6,000万円くらい。「看板を替えたら、どれだけ伸びるのか」と。

ベテラン営業

ベテラン営業その規模だと、新規開業の人とは答えが違うね。今ある売上にもロイヤリティがかかるかどうかで、損益分岐が大きく変わる。まずは各本部の条件を、公開されている数字で並べてみよう。

01売買中心のFC:条件の早見表

本部の加盟募集ページだけでなく、上場している本部は有価証券報告書に加盟金やロイヤリティの料率まで書いています。ここでは、確認できた範囲で一次資料の数字を使いました。「非公開」は、本部が問い合わせ制にしているものです。

ブランド本部・資本店舗数加盟金ロイヤリティ契約期間
センチュリー21センチュリー21・ジャパン(東証スタンダード 8898)。伊藤忠商事が議決権の49.3%934店2026年3月末150万〜300万円地域別。支店契約は半額売上歩合 6%自ら売主の取引は売買代金の0.36%。別に広告基金 月12万円5年更新料=新規加盟金の10%
ハウスドゥハウスドゥ住宅販売(親会社 And Doホールディングス、東証プライム 3457)加盟733・開店6372026年6月末非公開完全固定金額は非公開。システム料・広告分担金あり3年更新料なし
LIXIL不動産ショップ(ERA)LIXILイーアールエージャパン(LIXILグループ)公表値なし店舗検索で390件(編集部集計 2026年10月)非公開固定売上ロイヤリティなし。金額は非公開非公開
イエステーションイエステーション本部(非上場・売買専門)219店2026年10月1日100万円仲介手数料の1.75%システム利用料なし3年更新料なし・途中解約の違約金なし

※出典:センチュリー21・ジャパン 有価証券報告書(2026年3月期)、And Doホールディングス 有価証券報告書(2026年6月期)・FC募集ページ、LIXILイーアールエージャパン FC募集ページ・店舗検索、イエステーション本部 公式サイト。いずれも2026年10月28日閲覧。センチュリー21の募集サイトでは、初期費用を「168万〜336万円(税抜)」、月額を「11万円〜」と表示しており、有価証券報告書の区分とは表し方が異なります。

02賃貸中心のFC:条件の早見表

賃貸系は、金額を公開している本部が少ないのが特徴です。今回調べた中で加盟金と月額を明記していたのは、ピタットハウスだけでした。

ブランド本部・資本店舗数費用契約・条件目立つ支援
アパマンショップAPAMAN(非上場。2024年10月にMBOで上場廃止)FC1,000店超・直営70店2023年9月末非公開期間限定で月額制の加盟プランあり出店は既存加盟店と相乗効果が見込めるエリアが原則社宅提携法人16,398社(2026年6月末)、基幹システム「AOS」
エイブルエイブル(直営が主体)直営443・ネットワーク店3692026年2月1日非公開賃貸仲介・管理が主業であること専用システム「ANS」でポータルへ一括出稿、「CHINTAI」との2ブランド
ピタットハウスピタットハウスネットワーク(スターツグループ、東証プライム 8850)632店(直営116)2026年3月31日加盟金100万〜280万円・月会費12万〜28万円の定額変動ロイヤリティなし加盟後12か月以内の解約のみ違約金専任SV、社宅を管理する企業500社以上との連携。売買も扱う
ミニミニミニミニ・フランチャイズ本部直営・FC計 約450店2024年1月非公開地域で異なる2年・自動更新。法人のみ。他の賃貸FCとの重複加盟は不可法人部からの部屋探し依頼の紹介。売上ノルマなし
ハウスメイトハウスメイトパートナーズ(独立系)FC90・直営922024年10月非公開自社看板と並べる「Wブランド」を選べる社宅管理8.3万戸・430社、システム無料
ホームメイト東建コーポレーション(東証プライム 1766)支店・FC計 528店2025年8月20日非公開店舗間の距離による出店制限あり東建の管理物件網、事業用物件の掲載が無制限
ハウスコムハウスコム(大東建託グループ)FC20店2026年5月非公開FC展開は2025年から本格化反響の送客、法人営業支援

※出典:各本部の加盟募集ページ・会社概要、APAMANプレスリリース(2026年8月17日)、フィスコ企業調査レポート(APAMAN、2024年1月)、日本取引所グループ(上場廃止、2024年9月)、スターツコーポレーション公式、全国賃貸住宅新聞(2024年10月29日)、ハウスコム プレスリリース(2026年5月)。ホームメイトの店舗数は調査時に公式サイトがメンテナンス中だったため、検索結果に表示された公式ページの記載によります。なお、レオパレス21の「レオパレスパートナーズ」は現在、新規加盟を募集していません。

03ブランドごとの「らしさ」

条件表だけでは見えない、本部ごとの打ち出し方の違いです。どれも本部が公表している内容から整理しています。

センチュリー21

直営店ゼロ・全問い合わせが加盟店へ

  • 直営店を持たず、本部と公式サイトへの問い合わせは加盟店へ回る
  • 研修は賃貸・売買あわせて約30種類、eラーニングは無料
  • 米国本部とのサブフランチャイズ契約は「永久」で、日本での独占権を持つ
  • 広告基金は加盟店分11.2億円・本部分4.0億円(2026年3月期)

ハウスドゥ

異業種からの参入が約7割

  • 加盟企業の約7割が、異業種から不動産業に新たに参入した会社(2026年6月末)
  • 本部の金融・不動産商品(リースバック、不動産担保ローン、買取)を加盟店の提案に使える
  • 2024年12月に第一生命ホールディングスと資本業務提携
  • 有価証券報告書に「サービスレベルに達しない加盟店は入れ替え等の施策」と記載

LIXIL不動産ショップ(ERA)

相続とリフォームに強い

  • 1981年の「住通チェーン」が始まり。2002年にERA、2015年からLIXIL不動産ショップの名で展開
  • 2019年から「相続サロン」。認定コンサルタントの育成やセミナー講師の派遣
  • 査定書を最大50ページまで自動で作るツールなど、売買の提案ツールが厚い
  • 中古住宅+リフォームの一括提案

イエステーション

1市区町村に1店舗のテリトリー制

  • テリトリーは原則1市区町村1店舗(人口40万人以上の都市は別基準)
  • 加盟店の約35%が複数店を出している
  • 集客から成約までの数値を加盟店間で共有する支部会
  • 2025年の加盟店合計の売買仲介契約は7,376件

アパマンショップ

法人社宅のネットワーク

  • 社宅提携法人は16,398社(2026年6月末)
  • システム「AOS」からSUUMO・LIFULL HOME'Sへ連携
  • 本部の主な収益はロイヤリティ・システム利用料・広告収入
  • アナリストレポートでは「新規加盟を積極的には取っていない」とされた(2024年1月)

ピタットハウス

費用を公開した定額制

  • 加盟金・月会費の幅を公式に公開し、変動ロイヤリティなし
  • SV費・システム利用料・自社ポータル掲載料は月会費に含む
  • 既存の屋号と並べて使う加盟店が多い
  • スターツグループの社宅案件の紹介
営業担当

営業担当売上歩合と定額、どっちが得なんでしょう?

ベテラン営業

ベテラン営業それは「どっちが安いか」じゃなく、加盟でいくら売上が増えるかとの比較で決まる。式にすると、はっきりするよ。

04歩合か定額かで、「元が取れる売上」が変わる

FCに入って得かどうかは、「加盟で毎年払うお金」を、「加盟で増える売上」で取り返せるかで決まります。センチュリー21(首都圏)の公開条件を使って、3つのステップで計算してみます。

  1. 1

    加盟で毎年かかるお金

    約210万円 + 売上の6%

    広告基金 月12万円×12か月=144万円、加盟金300万円を5年で割って60万円、更新料30万円を5年で割って6万円。これに加えて、手数料売上の6%がロイヤリティになります。

  2. 2

    増えた売上のうち、手元に残るのは44%

    50% − 6% = 44%

    増えた売上から営業の歩合や経費を引いて、半分(50%)が手元に残る会社だとします。そこからさらに6%のロイヤリティを払うので、残るのは44%です。

  3. 3

    元を取るのに必要な、売上の増加

    210万円 ÷ 44% ≒ 年477万円

    新規開業なら、加盟前の売上がないので、ここまでで計算は終わりです。

営業担当

営業担当年477万円なら、意外と届きそうですね。

ベテラン営業

ベテラン営業新規開業ならね。でも看板替えは違う。今ある6,000万円の売上にも6%、つまり年360万円がかかるんだ。

※ロイヤリティ6%・広告基金・加盟金・更新料は、同社の有価証券報告書(2026年3月期)の記載です。「手元に残る割合50%」と「今の売上6,000万円」は説明のために置いた仮の数字です。自社の数字に置き換えて計算してください。

計算式で見る(自社の数字で試したい方へ)

売上歩合の場合、加盟が得になる条件

増える売上 ≧(歩合率 × 今の売上 + 年間の固定費)÷(手元に残る割合 − 歩合率)

定額(年額)の場合

増える売上 ≧(年額 + 年間の固定費)÷ 手元に残る割合

定額制なら、今の売上には関係なし

ハウスドゥ・LIXIL不動産ショップ・ピタットハウスのような定額制では、払う額は売上に関係なく一定です。たとえば年144万円の定額と6%の歩合は、手数料売上が年2,400万円のときに同じ負担になります(144万円÷6%)。それより売上が大きい会社は定額のほうが軽く、小さい会社は歩合のほうが軽くなります。定額制の本部は金額を公開していないことが多いので、比べるときは必ず見積書をそろえてください。

自社で売主になる取引が多い会社は、もう一段注意

センチュリー21では、加盟店が自ら売主になる取引に売買代金の0.36%がかかります。3,000万円の物件なら1件10.8万円。同じ物件を仲介した場合(手数料96万円×6%=5.76万円)より重くなります。買取再販や建売の多い会社ほど、この違いが効いてきます。

05看板替えと新規開業は、別の判断

本部ごとに、主に誰が加盟しているかはかなり違います。ハウスドゥは加盟企業の約7割が異業種からの新規参入。一方でセンチュリー21は、有価証券報告書で「複数店舗を展開する一部の大型加盟店が退会」したことに触れており、既存の不動産会社が多いブランドです。同社の店舗数は、2025年3月期に新規43店・退店77店、2026年3月期に新規33店・退店59店でした。

新規開業での加盟

  • ブランドで「立ち上がりの期間」を短くできるのが最大の価値
  • 研修・システム・集客サイトを一式で手に入れられる
  • 今ある売上がないので、歩合の重さは成長してから効いてくる

既存店の看板替え

  • 今ある売上にもロイヤリティがかかる(歩合制の場合)
  • 自社名で積み上げた資産(指名検索・Googleの口コミ・自社サイトのドメイン・ポータルの店舗名)がブランドの下に移る
  • 脱退するときは、それを自社名で作り直すコストになる

脱退時に見落としやすいのが商号と顧客データです。屋号(看板)だけを使う契約か、商号そのものをブランド入りに変える契約かで、手間が変わります。商号を変えた場合は、宅地建物取引業法 第9条により30日以内に変更の届出が必要です。また、本部のシステムに入れた顧客情報が、個人情報保護法上の「委託」なのか「共同利用」(第27条第5項第3号)なのかで、脱退後に誰が使えるかが変わります。契約書と、本部が公表している利用目的を確認してください。

営業担当

営業担当FCには、加盟前に説明しなきゃいけない法律がありますよね?

ベテラン営業

ベテラン営業中小小売商業振興法だね。ただ、あれは本部が商品を卸すチェーンを想定した法律で、不動産仲介のFCは条文上、対象外と読める。だからこそ、こちらから書面で求めるのが大事なんだ。

06加盟前に、書面で求めたい8つの資料

中小小売商業振興法の法定開示(第11条)は、本部が加盟者に商品を販売・あっせんする「連鎖化事業」(第4条第5項)が対象です。条文上、不動産仲介のFCは対象外と読めます(個別の判断は所管の中小企業庁にご確認ください)。一方、公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は業種を限っておらず、2021年4月の改正で、予想売上の根拠の示し方や近隣出店のルールなどが具体的になりました。両方を手がかりに、次の資料を本部に求めることをおすすめします。

  • 過去数年の店舗数の推移(新規加盟・契約解除・更新・更新しなかった数の内訳)
  • モデル収支を示す場合は、その根拠になった類似店舗の実績
  • ロイヤリティ・システム料・広告分担金の算定方法と、改定の条件
  • 中途解約の条件と、違約金の算定方法
  • 契約終了後の競業禁止の範囲(期間・地域)と守秘義務
  • 近隣出店(同じブランドの出店)についてのルール
  • 契約後に新しいシステムやサービスを導入する場合の費用負担
  • 顧客データの扱い(脱退後に自社で使えるか)と、直近数年の加盟店との訴訟の件数

※上の項目は、中小小売商業振興法施行規則 第10条・第11条の開示事項と、公正取引委員会のガイドラインが「開示が望ましい」とする事項を参考に整理したものです。

07賃貸と売買で、FCの価値は違う

仲介手数料の上限は、売買が「400万円超の部分は3%+消費税」なのに対し、賃貸は「貸主・借主の合計で借賃の1か月分+消費税」です(宅建業法 第46条に基づく告示、2024年7月改正)。1件あたりの単価が1桁違うため、売上歩合の重さも、ブランドが効く場面も変わります。

賃貸で効きやすいもの

  • 法人社宅の紹介。アパマンショップ(提携16,398社)、ハウスメイト(社宅管理8.3万戸)、ピタットハウス、ミニミニがそろって打ち出している
  • 地域外から来る人(転勤者など)への知名度
  • ポータルへの一括出稿などの業務システム

売買で効きやすいもの

  • 売主の「この会社に任せて大丈夫か」という安心感
  • 査定書・提案ツール、相続やリースバックなどの周辺商品
  • 一方で単価が高く、歩合制だと1件ごとのロイヤリティ額も大きい

※「ブランドで不動産会社を選んだ消費者の割合」を賃貸・売買別に示した中立的な調査は、今回見つかりませんでした。上の整理は各本部の打ち出し方からの考察です。

営業担当

営業担当結局、あの社長には何て伝えましょう?

ベテラン営業

ベテラン営業「欲しいのは看板なのか、仕組みなのか」を分けて考えてみてください、だね。看板は加盟しないと手に入らない。でも仕組みは、必要なものだけ選べる時代だから。

08「看板」と「仕組み」は分けて考えられる

FCで手に入るもののうち、ブランドの知名度は加盟しなければ得られません。一方、研修・業務システム・集客サイトの多くは、単体のサービスとしても選べます。たとえば物件確認の受付、内見の予約、案内結果の回収、売主さまへの報告といった業務は、月額制のサービスで、自社の看板のまま整えることができます。既存の売上が大きい会社ほど、「仕組みだけ持つ」選択肢と比べてから加盟を決める価値があります。

まとめ

  • 売上歩合ではセンチュリー21が6%、イエステーションが1.75%。ハウスドゥ・LIXIL不動産ショップ・ピタットハウスは定額制
  • 歩合制では、加盟前からの売上にもロイヤリティがかかる。看板替えでは損益分岐が新規開業の数倍になりうる
  • 不動産仲介FCは法定開示の対象外と読めるため、店舗数の推移・解約条件・競業禁止などは自分から書面で求める
  • 賃貸は法人社宅の紹介、売買は売主の安心感と提案ツール。業態によって、FCに求めるものは違う

※本記事は、2026年10月28日時点で公開されている情報をもとに、物件ボード編集部がまとめたものです。特定のFCを評価・推奨するものではありません。条件は改定されることがあるため、加盟の判断にあたっては各本部から最新の資料と契約書を取り寄せ、必要に応じて弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。掲載内容に誤りがありましたら、お問い合わせフォームからお知らせください。

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